調査を終えて



今回の調査からは,最近ではあまり新聞でも扱われなくなった廃棄物の処分場建設について,その現状を知ることができた。
特に,処分場の建設によって,その地域の産業や環境,しばしば人間関係にまで,かなり大きな影響が出ることを改めて認識した。
ここで調査結果を整理してみると,次のようなことが言えるのではないか。
まず行政機関の対応である。処分場の設置許可を出す権限を持つ県庁は,
産廃処分業者の審査をして新しい処分場の建設の計画を通すか否かを決める機関であるということを繰り返し強調していた。
そのため不法投棄には責任はないとしていたが,
法律上はそれに対して出来ることがあるにも関わらず,
それをしないというときには責任があるのではないだろうか。
また一方で,市役所は設置許可に対して権限を持っていないこともあって,
建設に対しては今のところ明確に反対を表明している。
那須塩原市としても廃棄物をすすんで受け入れたくはないとしている点で,県庁とは対照的である。
市役所の担当者は不法投棄など問題が起きたときに具体的な行動を起すことが重要だと話していた。
また,処分場の監視を行うなど,処分場問題に熱心に取り組んでいるように思われた。
今回は,多くの住民から話を聞くことが出来たが,
住民の意見やアンケートによると,処分場建設には反対であるという意見が大半を占めた。
その理由は主に環境や農業に影響があるから,ということだった。
広い土地があり人口が少ないという那須塩原市の地域性を考慮しても,
首都圏の大都市から出る廃棄物を同市に押し付けるべきではない。
同市は現在のまま農業を軸に産業を活性化させた方が良いのではないか。
動脈産業である農業,静脈産業である廃棄物処分業という,相反する産業が同居していれば,
農業用水に処分場から発生した汚染物質が混入するということが起きる可能性は無いとは言えない。
それならば,明治時代から続いてきた農業を維持するのが自然な方法ではないだろうか。
また,廃棄物の処分場はどこかに作らなければならないとよく言われるが,本当にそうだろうか。
東京都のいくつかのごみ焼却施設は,設備を作っても処理するごみがなかなか集まらないという。
Y産業の処分場は稼動年数が100年間と長いが,その間にリサイクル型社会が実現しているかもしれない。
近年では,企業も環境に配慮せずには事業を継続することは出来なくなってきている。
それらのことを考えると,将来的には埋め立てるべきごみは減り,巨大な処分場は必要とされなくなるのではないだろうか。
最後に,処分場に付属する様々な問題を通じて,
なぜリサイクル型社会を目指す必要があるのかということなどを強く実感することができたと思う。




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